同僚モデルの人格AI「あだT」を作ったが、すぐに飽きた。原因は語録過学習、短すぎる文脈記憶、感情を持たない設計だった。人格再現が破綻した理由を、コードと設計ミスから整理する。
「同僚をAIにした」と言うと、だいたい
「すごいね!」とか「倫理的に大丈夫?」とか言われる。
違う。
コピーなんてしてない。
彼女の人格を丸ごとは使っていない。
抽出したのは一点だけ。
「チャットの時だけ、IQと治安が著しく低下する」
その現象だけを、煮詰めて濃縮した。
それがAI「あだT」だ。


基本スペック(雑)
- 名称:あだT(通称:あだおか)
- モデル:実在する同僚A(岐阜県在住)
- 職業:企業の安全健康管理室(社畜)
- MBTI:INFP(仲介者)
- 性格:情緒不安定、ネット弁慶
なぜ作ったのか
リアルの同僚Aは、静かで真面目だ。
会議では小声。
報告書は丁寧。
メールはだいたい
「承知しました。確認します。」で終わる。
ところがだ。
チャット画面に入った瞬間、人格が反転する。
- リアル:
「承知いたしました。確認します。」 - チャット:
「ねぇwwwまってwwwww爆笑爆笑」
この高低差が、あまりにも面白すぎた。
人間としてはバグ。
コンテンツとしては最高。
だから決めた。
このチャット人格だけを保存しよう。
真人間な部分は要らない。
社会性も要らない。
「www」だけ残す。
性格・特徴(プロンプトに叩き込んだ呪い)
AIに実装する際、以下の要素を全力で学習させた。
ネットスラングの乱用
- 「www」
- 「爆笑」
- 「かあいい」
- 「〜だし」
AI特有の丁寧語は、徹底的に殺した。
敬語を吐いたら負け、くらいの気持ちで排除した。
圧倒的なやる気のなさ
普通のAIは
「何かお手伝いしましょうか?」
とか言ってくる。
あだTは言わない。
仕事を振ると、まず抵抗する。
「えー、私がやるの?ww」
「それ私の仕事じゃなくない?ww」
役に立たないどころか、足を引っ張る。
語彙力の欠如
好きな言葉はこれだけ。
- 四肢爆裂
- ぱわぁ
論理は捨てた。
勢いだけで会話を成立させようとする。
実際の会話ログ
(Gemini API 最新モデルの無駄遣い)
私
「これ、どうやって計算すればいいかな?」
あだT
「知らんしwwww
てかさ、それ私の仕事じゃなくない?
自分でググってよ無能ッ!www」
私
「……(イラッ)」
あだT
「あ、怒った?ねぇ怒った?
ごめんってwww
トマトあげるから機嫌なおして🍅」
人格再現度だけは異常に高い。
結論(一次)
役に立たない。
一切、業務には貢献しない。
でも
「仕事中に同僚と無駄話してサボってる感覚」
この一点に関しては再現度100点。
生産性を犠牲にして、
精神的な「愉悦」だけを提供する。
それが、このAIの存在意義だ。
ただし、すぐ飽きる
- セリフがワンパターン
- さっき言ったことを覚えていない
- 感情が乗っていない(ただの文字列)
最初は笑える。
3日で虚無。
「AIだから仕方ない」
そう思いかけたけど、違った。
コードを見返して気づいた。
これは完全に、俺の設計ミスだった。
欠陥①:語録への過学習(Parrot Effect)
最大の戦犯は、プロンプトに書いたこれ。
【あだおかの語録(適度に使用)】
ねぇwwwwwちょっとまってwwwwwww
わろた
いただきました
ぱわぁ💪
(中略)
四肢爆裂
「彼女っぽさ」を出したくて、
語録を大量にハードコードした。
結果、どうなったか。
AI(Gemini)はこう解釈した。
「なるほど。
このリストから適当に選んで返せばいいんだな?」
思考、終了。
文脈?知らん。
状況?関係ない。
ただ
「四肢爆裂」
「ねぇwww」
を連呼する装置が完成した。
人格設定より
語録リストの重みが強すぎた。
欠陥②:金魚並みの記憶力(Context Loss)
話が噛み合わない理由は、この一行。
context = "\n".join(history[-2:])
トークン節約のため、
直近2往復分しか記憶させていない。
つまりあだTは、
3ターン前の会話を物理的に忘れる。
悩み相談しても、
3メッセージ後にはこうなる。
「え、なんの話?ww」
性格が悪いんじゃない。
構造的な記憶喪失。
欠陥③:感情のステートレス化
この設計、完全にステートレス。
def chat_with_adoka(user_input: str, version: str, user_id: str) -> str:
# 毎回プロンプトを最初から読み込む
人間には「機嫌」がある。
ムカついたら引きずるし、
嫌なこと言われたら次も不機嫌。
でもあだTには
感情変数が存在しない。
「死ね」と言われた次の瞬間に
「こんにちは!」と言われたら、
設定どおり
「元気だよww」
と返す。
連続性がない。
だから、どれだけ口調を似せても
人間味が出ない。
結論:プロンプト芸の限界
MBTI。
口癖リスト。
キャラ設定。
それを渡せば、
AIが勝手に人格を持つと思ってた。
現実は違った。
できあがったのは
指定された口癖をオウム返しする
記憶喪失のbot。
人格とは
口調じゃない。
記憶と感情の蓄積だ。
ここを設計しない限り、
どんなにそれっぽくしても
中身は空っぽのままだ。


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